整形外科専攻医 スターターパック!!
これまでバラバラに紹介してきた本の中で、専攻医一年目の先生方にお勧めの書籍をまとめてみました。ぜひながめて見て下さい!!
※外傷手術編
まずはじめはマイスターシリーズ!!
髄内釘編とプレート編で分かれていて、非常にクリアカットな解説が印象的です。
だれにでもわかりやすく、各メーカーのインプラントの特徴までしっかりと記載されています。
骨折プレート治療マイスター
骨折髄内釘治療マイスター
お次は有名雑誌の一つ「Monthly Book Orthopedics」創刊30周年を記念して刊行された書籍!
アトラスという名前の通り画像がふんだんに記載されていてわかりやすいです。最初は意外と困ることの多い、体位どりや手術記事まですべての症例で記載されているところも専攻医にはおすすめなポイントです。
骨折治療基本手技アトラス
そして、外傷整形だけでなくすべての基礎となる解剖書!!
何回も紹介してますが名著中の名著!!
これさえあればどこでも展開できる(笑)それくらい頼りになる解剖書です。
展開する層を一層ずつアトラスにしてあるので非常にわかりやすく、頻用するアプローチはすべて載ってます!!
整形外科医のための手術解剖学図説
あと、ブログでは紹介してませんが、やっぱり基本のプロメテウスもおすすめです。
↑の手術解剖学図説ほど見るわけではないけど、いざって時に役に立ちます。
整形外科 おすすめ教科書紹介⑩
整形外科 おすすめ教科書紹介⑩
若手向けのおすすめ教科書紹介の第10弾です!
有名な本ですが、あえて紹介させて頂きます。
整形外科 おすすめ教科書紹介⑨
整形外科 おすすめ教科書紹介⑧
若手向けのおすすめ教科書紹介の第8弾です!
[関節のMRI]
整形外科 おすすめ教科書紹介⑧
整形外科 おすすめ教科書紹介⑧
若手向けのおすすめ教科書紹介の第8弾です!
後十字靱帯損傷について
後十字靱帯(PCL)
以前、前十字靱帯(ACL)についての教科書↓を紹介したので、今回は後十字靱帯(PCL)について、色々記載しておこうと思います。
(前十字靱帯についてのおすすめ教科書はこれ)
病態
PCLは、脛骨の後方移動を制限する役割があり、典型的な外傷機転として交通事故などでおこる”ダッシュボード外傷”があります。
症状と診断
PCLが損傷することにより、関節腫脹はほぼ必発します。また、高エネルギー外傷であるケースも多く、膝関節周囲に骨折を合併することも多くあります。そして、PCLの機能が失われるため、脛骨の後方への制限が甘くなり、不安定感を訴えることが多いです。
診断は多くの場合、MRIで行われます。また、身体所見としては、膝関節屈曲位での脛骨の後方落ち込み現象”sagging徴候”が確認できることもあります。
治療
急性期のPCL単独損傷はの治療については、これまでは保存療法が基本でした。PCLは血流が豊富である等という背景から、多くの研究で保存療法が良好な成績を示していたことは事実です。
しかし、近年、保存療法のみの場合、長期的に変形性関節症のリスクが高いことも報告されています。そのため、近年は手術を選択する施設も増加しつつあります。これには、手術デバイスの機能向上や手技の熟達化も理由にあると思われます。
この流れは、かつての半月板と同じ潮流だと思います。半月板断裂もかつてはひたすら切除が行われていましたが、現在は可能であれば縫合して機能を温存することが推奨されています。短期的にみると、半月板切除の成績が悪くなかったのは、PCL損傷と同じです。
現在、関節鏡下でも多くの便利なデバイスが存在します。PCL損傷と診断したならば、安易に保存療法のみを行うのではなく、活動性を考えた上で手術療法の選択肢もピックアップし、然るべき時は熟達した医師に紹介すべきと思います。
整形外科 おすすめ教科書紹介⑥⑦
整形外科 おすすめ教科書紹介⑥⑦
これから整形外科医として外来を始める人にオススメの2冊を紹介。
この2冊をうまく組み合わせることで、多くの初診はキレイにさばくことができるようになると思います!
こちらは、先程の1冊目よりも、治療に関して詳細に記載してあります。
特に、保存療法について多くのページが割かれ、非常にわかりやすい。例えば、単純な足関節捻挫の項だと、診断~新鮮時治療のコツ~リハビリプログラムまで詳細に記載されています。
また、この本の最も良い点は、保存療法or手術の判断ポイントが載っていること。例えば、頚髄症や腱板損傷の患者等をどのタイミングで専門医に紹介するかは悩みもので、この本はその点に関しても、良いアドバイスをくれると思います。
診療報酬改定 2022
2022 診療報酬改定
大腿骨近位部骨折
骨折後48時間以内に手術が行われた場合、4000点が加算
来年度からの診療報酬の改定で、上記の変更がなされました。
手術自体が18000点くらいですので、かなり大きな加算になります。
ガイドラインに記載されている緊急性の項目を盛り込んだ形になると思います。
算定基準や施設基準はこんなかんじ。
[算定要件]
(1) 75歳以上の大腿骨近位部骨折患者に対し、適切な周術期の管理を行い、骨折後48時間以内に骨折部位の整復固定を行った場合に、所定点数に加算する。
(2) 一連の入院期間において区分番号「B001」の「34」の「イ」二次性骨折予防継続管理料1を算定する
場合に1回に限り算定する。
(3) 当該手術後は、早期離床に努めるとともに、関係学会が示しているガイドラインを踏まえて適切な二次性骨折の予防を行うこと。
(4) 診療報酬明細書の摘要欄に骨折した日時及び手術を開始した日時を記載すること。
[施設基準]
(1) 整形外科、内科及び麻酔科を標榜している病院であること。
(2) 整形外科について5年以上の経験を有する常勤の医師が2名以上配置されていること。
(3) 麻酔科標榜医が配置されていること。
(4) 常勤の内科の医師が1名以上配置されていること。
(5) 緊急手術が可能な体制を有していること。
(6) 大腿骨近位部骨折患者に対する、前年の区分番号「K046 骨折観血的手術」及び「K081 人工骨頭挿入術」の算定回数の合計が60回以上であること。
(7) 当該施設における大腿骨近位部骨折後48時間以内に手術を実施した前年の実績について、院内掲示すること。
(8) 関係学会等と連携の上、手術適応等の治療方針の決定及び術後の管理等を行っていること。
(9) 多職種連携を目的とした、大腿骨近位部骨折患者に対する院内ガイドライン及びマニュアルを作成すること。
(10) 速やかな術前評価を目的とした院内の内科受診基準を作成すること。
(11) 運動器リハビリテーション料(Ⅰ)又は運動器リハビリテーション料(Ⅱ)の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出ていること。
(12) 二次性骨折予防継続管理料1の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出ていること。
(13) 関係学会から示されているガイドライン等に基づき、当該手術が適切に実施されていること。
厚生省ホームページより抜粋
結局、外傷を受けてる総合病院だとほぼ算定から除外されることはないと思います。
ただ、一つ気になるのは、前年の大腿骨近位部骨折の手術件数が60回以上であるということで、これは地方の小規模な病院だと除外されてしまう可能性がある。
こういう施設基準があると、外傷病院にさらに症例が集まる構図になりそうかもと思います、、、