橈骨遠位端骨折
疫学
上肢の骨折で最も頻度が高い。
受傷機転としては、転倒で手をついたタイミング。
分類
AO分類が使われることが多いが、実臨床では以下のように呼ばれることが多い。
これらで分類できないようなときは、まとめて粉砕骨折とかにされることも。
Colles骨折
遠位骨片が背側転移するもの。いわゆるフォーク状変形。
Smith骨折
Collesの逆。遠位骨片は掌側転移をきたす。
Die punch骨折
月状骨窩の背側の骨片だけのとき。
Barton骨折
関節面からすりおろされたかのように割れた骨折。背側か掌側かで、名前の最初につけられることも多い。
治療
可能であればまずは整復。
保存療法か手術かの見極めは正直施設ごとの判断が多きいが、粉砕してたり転位が大きかったりしたら、手術になることが多い。
手術
粉砕が強くなければ、まずは掌側ロッキングプレートが選択される。
アプローチはFCR(橈側手根屈筋)と橈骨動脈がメルクマールとなる。
FCRの直上でいくならtrans-FCR approach、FCRの橈側かつ頭骨動脈の尺側から入っていくなら modified Henry approachが多い。
さらに、展開を続けFPL(長母指屈筋)を橈側によけるとPQ(方形回内筋)が露出する。これを、橈側で骨膜ごと切開すると橈骨が露出する。
血種とかを除去して、観血的に整復。プレート設置。
プレート固定で大切なのは、スクリューが関節面に到達しないこと。
閉創ではPQを可能な限り縫合して、プレートを覆う。水平マットレス縫合などを駆使しても、実際はなかなか被覆しきれないことも多い。
術後
単純な骨折でしっかりと固定できた症例であれば、外固定をしない施設も多い。
高齢者でなければ、伸筋腱損傷の可能性があるから抜釘を計画するほうがいい。
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